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気象学基礎2【自学自習用】

風と気圧場の関係

(1) コリオリ力
地球は常に自転しているため,真っすぐにボールを投げたつもりでも,曲がって動いているように見える.この自転によって考えなければならない見かけの力を“コリオリ力”といい,

F=fV=2Ωsinθ×V        ①

で表現される.ここでfはコリオリパラメータといい,地球の角速度Ωと緯度sinθの関係から定義される.

(2) 地衡風
上空大気では,風は等圧線と平行に吹く.本来,風は高圧部から低圧部に向かって吹くが,コリオリ力によって等圧線と平行に吹いている.

図 300hPaの高度,気温,風速の天気図(国際気象海洋HPより).
        

2本の等圧線に挟まれた空気塊において,
手前から奥に向かう力は,P×Δs×Δz
奥から手前に向かう力は,(P-ΔP)×Δs×Δz
したがってその差は,ΔPΔsΔzである.
ここで直方体の堆積は,ΔsΔzΔnより,単位体積あたりの力は,

∆P/∆n   ②

と表せる.②式に空気塊の密度ρを追加すると,単位質量の空気塊には,1/ρ ∆P/∆nの力がかかっていることがわかる.これを気圧傾度力という.

P_n=-1/ρ ∆P/∆n ③

通常負の符号をつけるが,これは高圧部から低圧部への力の方向を示している.
この節の冒頭で述べたように風は等圧線に沿って吹いている.これは気圧傾度力とコリオリ力が釣り合っているためである.したがって,

fV=-1/ρ ∆P/∆n   の関係より,

V=(-1)/2ρΩsinθ ΔP/Δn          ④

④式のような風速で吹く風を地衡風と呼ぶ.

(3) 傾度風

実際の擾乱(低気圧,台風等)を考えるときは,地衡風の関係は成立しない.
この場合は,遠心力を追加して考慮する.
半径rの円が反時計回りに動いているとする(低気圧).
この時,力のつり合いは

遠心力+コリオリ力=気圧傾度力

となる.

V^2/r+fV=P_n          *

Vについて整理して,解の公式を適用すると,

V=(-fr±√(f^2 r^2+4rP_n ))/2         ⑤

ここでVは実数なので,√の中の条件は,

f^2 r^2+4rP_n>0

(f^2 r)/4>-P_n           ⑥

ここで,低気圧の場合,Pn>0であり,高気圧の場合はPn<0である.
したがって,高気圧の場合は両辺の符号が同じとなるので,rが小さい,つまり高気圧の中心ほどPnも小さくなる必要がある.気圧傾度力が小さくなるということは,風速も小さくなる.これが高気圧では強風が吹かない理由である.

1及び2における参考図書:

一般気象学【第2版】 小倉義光著 東京大学出版会

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